他の記事でも書いたことがあるが,現在の少林寺拳法の技は,非常に殺傷力の高い技をあえて他者を傷つけないように改変した部分が有ると思っている.あるいはいくつかのバリエーションのうち安全性が高いバージョンを教えている.
たとえば,片手投は,片膝をついて投げるように指導している道院がほとんどであると思うが,教範やカッパブックスに載っている開祖の演武写真は立ったまま投げている.勿論関節を極められたまま肩の高さで投げられた方がダメージは大きいはず.
また,片胸落は通常手首関節を極めるが,開祖の過去の記述によれば,しゃくり落として肘関節を外している.おそらくはこちらが原型バージョンであろう.手首を極める場合は関節は外れないので,より相手を傷つけないバージョンになっていると言える.
このほか,実は習ったとおりにかけた方が難しくて,且つ相手を壊さないバージョンになっている例が沢山ある.やはり,少林寺拳法の技は,まさに宗門の行として昇華された形になって居るのだと思う.逆に言えば,ちょっと変えると強烈な壊し技になるという一面もあるわけで.昔のやんちゃな先輩はこれを裏少林寺などとふざけて呼んでいた.元々活殺自在の技を不殺活人の方に振っているところに,却って凄さを感じる.
ちなみに,カッパの本
Amazon.co.jp: 秘伝少林寺拳法―禅の源流・中国伝来の護身術 (1963年) (カッパ・ブックス): 宗 道臣: 本